人の心の奥底から生まれ、その人格が表現される音楽を専門の教科とする本校では、正しい技術の訓練、豊かな知識の吸収、そして音楽の持つ美しさを鋭く感じ取る知性・感性・創造性を磨くことが、重要な教育の目標です。本校は、武蔵野音楽大学の附属高等学校として、学園に共通する建学の精神「〈和〉のこころ」のもと、「音楽芸術の研鑽」と「人間形成」を教育方針に掲げています。さらに、これらの実現のために、礼儀(Propriety)、清潔(Purity)、時間厳守(Punctuality)の3 つを「3 P 主義」と呼び、これを日々の生活で実践しています。そして、「〈和〉のこころ」と同時に、一人ひとりが持つ個性を大切にして、将来その個性が素直に大きく花開くよう、教職員一同、創意と工夫に溢れる指導に努めています。
在校生諸君は、四季ごとに移り変わる美しい自然に囲まれた入間キャンパスで、さまざまな感動を体験し、心身ともに大きく成長する段階の豊かな才能を健全に育みながら、明るく充実した学校生活を送っています。生徒たちが、多様な価値観をもつ仲間と触れ合い刺激し合いながら、信頼に基づく人間関係を誠実に保つことの尊さを学び、音楽の研鑽を通し人格的に成長するためには、こうした自然豊かで広大なキャンパスでの環境は最適でしょう。
一方、2017年に武蔵野音楽大学は、東京都内の江古田に、通常の大学キャンパスの枠を超えた「音楽の街」とも呼べる画期的な都市型キャンパスを完成させました。重厚感と現代性とが調和し、優れた機能性とスタイリッシュなデザインを併せ持つキャンパス内には、6つのホール、多くの最適な音響のレッスン室などを完備する、まさに理想的な演奏・学修環境が整っています。本校の生徒諸君にも行事等で積極的に活用してもらうことで、教育成果の一層の向上を図っています。
世の中は目まぐるしい変化を遂げていますが、いかに人々の生活環境が変わろうとも、音楽芸術に心を癒され、これに明日を生きる活力を見いだすという、人間が生来持つ本性は普遍であると、私は信じています。そして生徒の皆さんには、武蔵野での学びを通して培った多層的な知性としなやかな感性を活かし、夢に向かって大きく羽ばたいていって欲しいと心から願っています。
キャンパス(campus)とは、ラテン語の広々とした平地、フィールドを語源としています。まさに「キャンパス」と呼ぶに相応しく、音楽を学ぶことに適したこの環境で、希望に胸を膨らませている元気な笑顔と出会うことを、私たちは楽しみにしています。

武蔵野音楽大学 学長
武蔵野音楽大学附属高等学校
校長 福井 直昭